「繰り上がり計算、ちゃんと理解できてる?親が見逃しがちな計算ミスの原因と解決法」
「学校のテストでくり上がり計算が全滅してしまった…」
「家で教えたはずなのに、なぜか点数が伸びない」
お子さんの計算テストの結果に、不安や焦りを感じたことはありませんか?
もしかしたら、くり上がり計算の理解不足が原因で、せっかくの努力が結果に結びついていないのかもしれません。
さらに、私自身もこの問題に直面した経験があります。
娘が学校の宿題に取り組む際にくり上がり計算に異常なほどの時間がかかる。

そして、答えが18や19といった大きな数になる場面で、ミスが連発していることに気づき、ずっと観察していたところ、そっと膝の上に置いた手の指の数を数えながら、計算をしていたのです。(手を使って計算しないように言ってあるので、密かに使ってました。)
それは数え間違えるし、時間がかかるはずだ。(笑)
長年の経験から、このまま放置すれば、繰り上がりや繰り下がりのある筆算(2年生)が出てきた時にも苦労するため、娘の手による計算を封印するべく、つきっきりで特訓に励みました。指20本しかないし…。
この記事では、こうした悩みに寄り添いながら、「くり上がり計算」がなぜ学習の基礎として重要なのか、そして具体的な解決策をどのように実践すればよいのかを詳しく解説していきます。
親として、また指導者としての両面から得た知見をもとに、あなたのお子さんが確かな計算力を身につけるためのサポートをしていきます。
執筆者プロフィール
実家は30年以上続ける学習塾、母はもと学校教諭という環境で育ったため、教育というテーマに縁がある人生でした。学生時代は個別指導塾でアルバイトをしていたところ、正社員登用のお誘いが。他の塾現場も見ておこうということで、約10年間武者修行として現場で指導にたずさわりました。
家庭の事情を機に実家の学習塾に戻り、現在は幼児から中学3年生までの5教科を指導。指導者としての経験を積む中で、今は自分自身も2人の娘の小学校生活を見守る、親としての顔も持つようになる。
「子育ての中で、塾や周囲からこんなアドバイスがあったら助かったのに…」という思いから、親としての悩みや試行錯誤の経験を活かし、解決策を模索する情報を発信するブログを執筆中。教育現場で培った知見と、親としてのリアルな体験を交え、子どもたちの未来をより明るくするためのサポートを目指しています。
7+6は、どうやって計算するの?
Q.7+6を計算すると答えは13ですが、子どもの答えが間違っていた場合、どうやって説明しますか?

A.1 おはじきを使って、数える。
A.2 図に描いて考える。
など色々な方法があると思いますが、
現在、多くの小学校の教科書で採用されているのはさくらんぼ計算🍒という方法です。
以下は、その計算の流れと、子どもが陥りやすいポイントについて解説します。
さくらんぼ計算の基本手順

①6の下にさくらんぼをかき、6を3と3に分けて書きます。
②7と3をたして、10
③10と残りの3をたして、答えは13になります。
子どもがつまづくポイントは?
さくらんぼ計算で、子どもがつまづくのは、6をいくつといくつの分けるのかがわからないという点です。
6は1と5,2と4、3と3など色々な形に分けることができるため、さくらんぼの左と右にどんな数を書けばよいのかということについて子どもは迷うのです。
小学校1年生のお子さんがいらっしゃる方は、学校のテストを確認して、いくつといくつに分けているか確認してみてください。ここでの分け方のポイントは7と何をたしたら10になるのか(補数といいます)という点です。
子どもはさくらんぼを見ると、6を分けるということはわかるものの、左の数字と合わせて10になるようにわけるということを理解することは意外とハードルが高いのです。

(例題) 7+6=
6をいくつといくつに
わけるとけいさんできるかな?
【ミスの原因分析 – 親が見逃しがちなチェックポイント】
学校で「くり上がりの計算」を“さくらんぼの形”に分けて練習する時間は、実はそれほど多くありません。
一通りの説明が終わると、すぐに計算問題が並び、答えが合っていれば「理解しているもの」として次に進んでしまうのが現状です。
たとえ、手や指を使って計算していたとしても、答えさえ合っていれば補数の理解は確認されないままスルーされてしまいます。
そのため、「くり上がりの計算」で100点を取ったからといって、必ずしも補数を理解しているとは限らない、という点には注意が必要です。
💬「6をいくつといくつに分ける?」と聞いたとき、どうして違う答えになるの?
たとえば、先ほどのクイズのケース、7+6の計算で「6をいくつといくつに分ける?」と聞いたときに、お子さんが「4と2!」「5と1!」といったように、3と3以外の組み合わせを答えたとしたら──
その原因はどこにあるのでしょうか?
🔢 計算の基本は「10をつくる」こと!
私たちが日常的に使っている数の仕組みは「10進法」です。
これは、「10になったら1つ上の位に繰り上がる」という約束になっています。
だからこそ、計算では「10のかたまりを意識する」ことがとても大切なのです。
たとえば、
7+6 の場合は
→「7に3を足すと10」
→「残りの3を足すと13」
となり、10の位が1つと、1の位が3で「13」になるという仕組みです。
🔁 なぜ「補数」の学習が先にあるの?
1年生の最初に「10になる数の組み合わせ」をたくさん練習するのも、このためです。
たとえば──
- 1と9
- 2と8
- 3と7
- 4と6
- 5と5
こうしたペアをしっかり覚えておくことで、繰り上がりの計算がスムーズになります。
🤔 でも、覚えているだけじゃ足りない?
実は多くの子が、こうした補数の組み合わせを「聞かれたときには言える」けれど、
**実際の足し算の中で“使えていない”**ということがよく起きます。
つまり──
✅ 補数の知識と、計算場面がつながっていないのです。
⚠️ 補数が「反射的に」浮かぶまでがゴール!
7+6のような繰り上がりのある足し算では、こう考える必要があります:
- 10をつくるために「6をどう分けるか?」(=補数)
- 残りはいくつか?
この思考がスムーズにできるようになるためには、
「6を見た瞬間に“4と2”ではなく“3と3”」と出てくる必要があります。
それができないと、なんとなく見た目で数字を分けてしまうようになります。
つまり、「6を分ける」と言われても、目的がわかっていなければ、
好きな組み合わせ(4と2、5と1など)を言ってしまうのです。
親子で楽しく「10をつくる力」を育てる!トランプゲーム&お買い物体験で補数をマスター
ここまでで、「補数」の重要性がわかっていただけたのではないでしょうか。
それでは、この感覚をどのように身につけて行けばいいのか。学校の教科書や市販の問題集を買って来て10を作る練習をすることでももちろん達成はできるかもしれません。
しかし、具体的なイメージが膨らむ方が理解度はグンと増しますので、楽しい遊びや日常の体験の中で、自然と「補数の感覚」を身につける工夫が大切です。
今回は、おうちで簡単にできる2つの方法をご紹介します!
トランプで遊ぼう!「10をつくるペア探しゲーム」
▶ ルールはかんたん!
1〜9のカード(絵札は使いません)を用意して、ランダムに並べます。
その中から、合計が10になるペアをどんどん見つけて取っていくゲームです。
たとえば「1と9」「2と8」「3と7」など。

▶ いろいろな遊び方にアレンジ!
- 時間制限でチャレンジ:「1分間で何ペア見つけられるか?」競争!
- 親子対決:交互にペアを取っていき、取った数で勝負!
- 記憶ゲーム風:カードを裏向きにして、神経衰弱のように遊んでもOK!
▶ このゲームで得られる力
- 「あといくつで10になる?」という補数の感覚が自然と身につく
- カードを実際に手で扱うことで、数が“目に見える・触れる”ものになる
そして将来、数学で確率を学ぶときにも「トランプ=知ってる道具」として親しみが持てるようになります。
なぜトランプ? 中学生が知らなかった驚きの事実
ここで、ちょっと驚くエピソードをひとつご紹介します。
中学2年生の授業で「確率」を教えていたときのこと。
私は生徒たちにこう質問しました。
先生:「トランプって何枚あるか知ってる?」
生徒:「……え、知らないです」
実は、トランプに触れたことがない子が思ったより多いのです。
「ハート」「ダイヤ」といったマークの名前や、52枚あるという枚数も知らない。
つまり、小さい頃からトランプ遊びを経験していない子が増えているんですね。
その結果、数学で扱う“確率”という概念にも、具体的なイメージが湧きづらくなってしまい、確率の計算がまったくできないという事態に陥ってしまったのです。
今は、ゲームにスマホにYoutubeと娯楽の多い時代です。トランプなどには触れる必要もなく、時が過ぎていきます。しかし、学校の教科書では依然としてトランプやサイコロを使った事例がたくさん。
だからこそ、小学生のうちから
「トランプで遊びながら、数に親しむ」体験をしておくのも大切というのが実感です。
お買い物で学ぶ!「あといくらで100円?」の練習
「お金」を使った学習は、子どもにとってとってもリアルで楽しい体験です。
▶ 家でできる!お買い物ごっこ
- 「お菓子屋さんごっこ」や「100円ショップごっこ」を用意します
- 子どもにこう質問してみましょう
「40円のチョコを買ったら、あといくら分買ったら100円になるかな?」
この「あといくら?」という問いが、まさに補数の考え方につながっているのです。
▶ スーパーでも実践!
実際のお買い物中に、こんな声かけをしてみましょう。
- 「今カゴの中、300円分くらいあるね。あと200円分買ったら500円になるね!」
- キャッシュレスの時代ですが、子どもに300円分のお菓子を自分で選ばせて、実際に現金で払ってみる。お金が足りるか足りないかドキドキするという体験もとてもよいと思います。
これだけで立派な算数トレーニングになります。
まとめ – 日常生活こそ最高の学びの場
「10のまとまり」の感覚は、計算の正確さやスピードに直結する大事な力です。
これがないと、小学校1年生の学習で困るだけでなく、2年生、3年生で学習する筆算の際にも苦しむことになります。
でも、それをプリントの反復だけで身につけるのは、なかなか大変。
だからこそ、
・トランプで遊びながら
・お買い物の中で実感しながら
補数の感覚を自然に育てるのがいちばんの近道です。
学びは、机の上だけじゃありません。
日常そのものが、最高の学びの場なんです。
ぜひ、今日から試してみてくださいね!
📝 チェックリスト:家庭でできる「10をつくる力」育成法
以下のチェックリストを活用して、家庭での学習をサポートしましょう。
- □さくらんぼ計算の意味を理解しているか確認する
- □補数(10になる組み合わせ)をスムーズに答えられるか練習する
- □トランプを使った「10をつくるペア探しゲーム」を定期的に行う
- □お買い物ごっこで「あといくらで100円?」の計算を楽しむ
- □実際の買い物で予算内に収める練習をする
これらの体験を通じて、子どもたちの計算力を自然と高め、算数、数学で困ることを予防していきましょう。
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